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2年現代文 小説「デューク」~一編の小説を5通りの読み方で読む

投稿者: oku01 投稿日:

2年次生の現代文では、現在、江國香織さんの短編小説「デューク」を教材に、小説の様々な読み方について学習しています。

【1時間目】最初から最後まで一通り読んで、場面ごとに段落分けをして、初めてこの小説を読んだ時の感想を書きます。最後まで読むと「ああ!」という驚きを主人公と一緒に感じる仕掛けのある小説です。

【2時間目】また最初から最後まで、今度は人(犬)物描写のみを抜き出していきます。

この小説には主人公の「私」、犬のデューク、少年の3者が登場しますが、後2者の描写を比較すると、1時間目には気づかなかったことに気が付きます。仕掛けがわかった後にもう一度読んでも小説を新しく味わえ、作家の工夫に驚きます。

【3時間目】またしても最初から最後まで、今度は主人公の「私」の気持ちがわかるところのみを抜き出していきます。その心情に重ねて、グラフ化していくことで、場面と心情が関連していることがわかります。

【4時間目】今回は会話に注目してセリフのみを抜き出します。作家の仕掛けを分かった上で、何気ない会話の奥にある気持ちを想像すると、気持ちというものが言葉の端々や、言葉以外のところにもあることに気づきます。

 

この4時間目の最初には簡単なコミュニケーション・ゲームをペアでやってみました。

① 怒った顔をして「怒ってないよ」と言う。

② いちばんいい笑顔で「怒ってるよ」と言う。

みんなとても楽しみながらやってみていました。言葉と表情のどちらが心情に近いかを考えると、多くの人が「表情」に手を挙げました。授業の最後には次のセリフで気持ちよく授業を終えました。

③ いちばんいい笑顔で「今日は楽しかったよ」と言う。

言葉を大切にしつつも、言葉以外の表情やしぐさや行動から、相手の気持ちを読み取ることの大切さを知り、自分自身も言葉や表情を使って相手に伝えようとするコミュニケーションの仕方を学びました。

こういった活動に前向きに積極的に取り組み、協力し合える生徒たちはとても素敵です。

 

次回【5時間目】にはこの小説を読んで残った謎や疑問について、自由に考えてお互いに答え合う予定です。小説を読むことの楽しさを教えてくれる「デューク」をぜひ何度も何度も読んでみてください。

カテゴリー: 授業