2年生春期特別講座(国語)「登場人物の視点で感情を表現」

2年生春期特別講座で、国語の小説分野について、人物が出来事に出会って感情が動き、行動するということを学習しました。「桃太郎」を題材に、実際に様々な登場人物の視点で感情を表現して書いてみたところ、それぞれにストーリー性豊かな小説ができたので、その一部を紹介します。
【桃太郎視点】
私は桃太郎。物心がついたのは、桃の中にいた頃からだ。ある日突然何者かの手によって桃の封印が解かれてしまった。封印を解いたものの名は「おばあさん」と言うらしい。
私は強く生まれてきたがゆえに、誰かを守るためにこの力を使ってきた。ある日、おばあさんから、離島にいる鬼が村に来ては悪さをして村人を困らせていると聞いた。私は居ても立ってもいられず、鬼退治に行くことにした。
まずは、仲間集めだ。近所の田中さんの家の犬を仲間にしようと考えた。奴のことは噂で聞くに、何百もの命を奪ってきたらしい。必ず私の力になってくれるだろう。ペッツプランの餌を混ぜたこのきび団子をあげたら、すぐに仲間になった。案外ちょろいなと思った。
私はこの仲間と共に鬼退治に向かった。私は数えきれぬ程の命を奪った。この手で……子も女も関係なく。私は、本当は自分が鬼ではないかと錯覚するようになった。鬼の頭領を倒した時、この戦が終わったのだと思った。おばあさん、我は自分の責務を全うできたでしょうか。私は金銀財宝を村に持ち帰った。たくさんの命を奪った鬼となって。
【おばあさん視点】
今から少し昔のことです。私はいつものように川で洗濯をしていました。すると川の向こうから見たこともないほど大きな桃が流れてきました。驚いた私は桃を家に持ち帰り、おじいさんと一緒に割ってみました。するとびっくりしたことに、中からとてもかわいい赤ちゃんが産まれてきたのです。私たちはその子に「桃太郎」と名を付け、それはそれは大切に育てました。
数年が経ち、桃太郎は立派な男の子に成長しました。そんなある日、桃太郎はこう言いました。「僕、村を荒らす鬼を退治するため旅に出ます。」と。初めは、私もおじいさんも必死に止めました。鬼ヶ島は行った人は誰も戻ってこないと有名な場所です。何度も止めました。しかし、桃太郎の熱意は変わりません。私はせめてもの力になれるようにと、きび団子を作って持たせました。
桃太郎が帰ってくるまでの間、私もおじいさんも不安でいっぱいでした。桃太郎がいない時間はとても長く感じられました。そうして何日も経った頃、桃太郎はかわいい三匹のお供と、たくさんの財宝を持って帰ってきました。私たちは泣いて喜びました。これが私たちの自慢の子ども、桃太郎のお話です。
【犬視点】
ある日、桃太郎がやって来た。桃太郎は鬼退治に行く途中だと話してくれた。その時、私の目に留まったのはきび団子。最近ごはんを食べていなかったせいか、すごくおいしそうに見えた。私はきび団子に夢中で桃太郎の話を聞いていなかったらしい。きび団子を食べ終わった後、いつの間にか家来になっていた。話を聞かなかった自分の落ち度だと思い、鬼退治について行くことに決めた。向かう途中、追加のきび団子をくれるかもしれない、鬼退治をしたら桃太郎が何かおごってくれるかもしれないと考えているうちに、暗い気持ちも明るい気持ちへと変化した。
いざ鬼退治。しかし、私は特に攻撃することもなく、そばで見ていただけだった。ただ、桃太郎が攻撃されそうな様子を見た私は、飼い主の田中さんに教えてもらったキックボクシングで鬼を攻撃しただけです。
最後はみんなで財宝を分け、幸せな生活を送りました。